急性骨髄性白血病(AML)とは

骨髄の中で、成熟できない異常な血液細胞(骨髄系白血病細胞)が増殖し、正常な血液細胞をつくる機能が阻害される病気です1)。
- AMLでは、増殖した骨髄系白血病細胞が骨髄や全身の血液、臓器に広がります。
AMLの特徴
AMLでは、白血病細胞の増殖によって正常な血液細胞が減少することで、さまざまな症状があらわれます。
■ 発症者数・好発年齢
- 日本では全白血病の約80%が急性白血病で、AMLの年間発症者数は約6,000人と考えられています1)。
- AMLは50歳以上から発症率が上昇し、男性に多く認められます2)。
■ 原因
- AMLの多くは原因不明です3)。
- 血液の元となる細胞の遺伝子の異常が関係する場合もあります3)。
■ 主な症状
- 正常な血液細胞が減少すると、息切れや動悸、めまいといった貧血症状(赤血球減少)、鼻や歯肉からの出血(血小板減少)、倦怠感や発熱(白血球[好中球]減少)などがあらわれます。
- 血流によって全身に運ばれた白血病細胞が脾臓や肝臓の中で増殖した場合は、臓器が腫れて痛みや圧迫感を感じることもあります。
AMLの分類
白血病細胞の特徴や発症までの過程で、いくつかの種類に分類されます。この種類が、治療方針の決定に関係します。
■分類するときの指標4)
- 1白血病細胞の状態
(染色体異常、遺伝子異常、細胞の数や形など) - 2発症までの過程
- 染色体のタイプ、遺伝子の異常の有無は、AMLのタイプの診断、治療法の選択、治療効果の判定、予後予測などを行う上で大切な情報です4)。
- AMLの治療では、治癒を目指した強力な薬物療法が行われますが、年齢や全身状態などから強力な化学療法が行えるかを慎重に判断します4)。
1)三谷絹子(監修):もっと知ってほしい急性骨髄性白血病のこと 2018年版,
NPO法人キャンサーネットジャパン, 2017, p4-5
2)神田善伸:血液病レジデントマニュアル 第3版. 医学書院, 2019, p185-203
3)日本血液学会(編集):血液専門医テキスト 改訂第3版, 南江堂. 2019, p276-287
4)日本血液学会(編集):造血器腫瘍診療ガイドライン2018年版補訂版, 金原出版, 2020, p8-14